新たな外国人人材を受け入れる「特定技能」の在留資格。新しいビザの枠組みでは、外国人を雇用する「受け入れ機関」と、特定技能1号外国人への支援を委託で実施する「登録支援機関」がメインの柱です。ここではビザサポートを専門に行う行政書士が、登録支援機関の役割と求められる条件について解説します。
登録支援機関とは新たな在留資格「特定技能」を支えるポジション
新しいビザ「特定技能」では、「受け入れ機関」と「登録支援機関」の2つが中心となり、外国人人材の受け入れを行います。
登録支援機関は、その中で外国人を雇用する企業・団体から委託を受け、外国人への支援計画を行う役割を担います。
外国人人材を受け入れる流れを図にすると、以下の通りです。
<出典:法務省『在留資格「特定技能」について』>
• 受入れ機関:特定技能外国人を雇用する企業・団体のこと
• 登録支援機関:受け入れ機関に代わって、特定技能外国人に支援計画を実施する企業・団体・個人のこと
外国人人材のスムーズな受け入れには、職務上・生活上の必要なサポートが必須です。
法務省は、外国人への支援を実施する義務を、受け入れ機関に課しています。
いかに企業が、登録支援機関と連携して支援計画を実施できるかが、スムーズな受け入れの鍵です。
以下に、登録支援機関の役割と、求められる支援計画の内容をみてみましょう。
登録支援機関の役割は、受け入れ機関からの業務委託を受け、特定技能1号の外国人へ支援計画を実施することです。
ここでは、特定技能1号とはなにか。また、求められる支援計画の内容についてご説明します。
法務省の解説によれば、特定技能1号は「該当分野の相当程度の知識または経験を必要とする技能」を必要とする業務を行う外国人であり、特定技能2号は1号よりもさらに高度な熟練技術を要するものと定めています。
申請条件の大きな違いは、特定技能1号は日本語試験と技術試験の両方に合格しなければいけないという点です。
くわえて、家族帯同や滞在年数にも制限があります。
2019年4月の特定技能ビザがスタートした時点では、受け入れは特定技能1号からはじまっています。
また、特定技能1号の外国人人材を受け入れる企業・団体は、かならず支援計画を実施する必要があります。
P5 http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf
支援計画は、外国人人材がスムーズに入国し、仕事上の役割を理解して日本で滞りなく生活できるようサポートすることが目的です。
法務省の『特定技能外国人受け入れに関する運用要綱』では、支援計画について以下の内容を定めています。
【支援計画の内容】
概要 詳細 事前ガイダンスの実施 雇用契約内容や入国に必要な事項、在留条件等の説明。対面以外に、テレビ電話での実施も認められます。 出入国時の空港送迎 入国時に空港へ出迎え事業所・住居へ送迎、帰国時に空港まで送迎。 適切な住居確保のためのサポート 社宅の提供、連帯保証人になる 生活に必要な契約支援 銀行口座解説、携帯電話契約 入国後の生活オリエンテーション スムーズに日本で生活できるよう、日本のルールやマナー研修、病院や役所などの必要情報の提供、災害時の対応についての説明。直接の対面で実施します。 公的手続き等の同行 必要に応じて、社会保障や税などの役所での手続きへの同行・書類作成補助 生活に必要な日本語学習の支援 日本語教室の入学案内、日本語学習教材の情報提供等。個々の日本語能力に応じたサポートが想定されています。日本語学習にかかる費用を会社や登録支援機関が負担するかは任意です。 日常生活や社会生活についての相談 仕事や生活での苦情・相談を、外国人が理解できる言語で受け付ける 日本人との交流促進支援 自治会への参加を促したり、地域住民との交流の場を案内する 転職先の支援 会社都合での解雇の際、転職先を探すための手伝いや推薦状を作成する
定期的な面談の実施 支援責任者等が外国人と定期的な面談を行い、労働法に違反するものがあれば行政機関へ通報する
P5 http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf
これらの支援計画の実施は、受け入れ機関の義務です。かならず、行わなければいけません。
さらに、特定技能1号を受け入れる企業・団体は、以下の届出を提出する必要があります。
【特定技能1号外国人の支援計画実施に必要な届出】
届出 内容 必要なタイミグ 1号特定技能外国人支援計画 運用要綱に定める必要な支援計画を記したもの 当該外国人の在留資格申請時に、地方出入国在留管理局へ提出 1号特定技能外国人支援計画の実施状況に関する届け出 実施状況を明らかにする書類 四半期に1回提出する。
特定技能外国人を雇用する企業・団体の受け入れ機関は、これらの支援計画の作成・実施を登録支援機関に委託できます。
登録支援機関は届出制であり、要件を満たした企業・団体・個人のみが支援計画の委託を受けることができます。
原則として、1つの登録支援機関に支援計画のすべてを委託します。
複数の登録支援機関に割り振る場合には、受け入れ機関(外国人を雇用する企業)自体が、登録支援機関の要件を満たしている必要があります。
また、委託を受けた登録支援機関が、さらにその業務を別の機関に再委託することは禁じられています。